アイシング、マイラブソング
プアン
列車が警笛を鳴らしながら勢い良くホームに飛び込んできた。
同時に、美和が慌ただしく動き始めた。
「あたし、コレ乗るね!」
― ん ?
僕は一瞬にして凍りついた。
「二人は同じ駅でしょ?あたしの駅はその次の駅だし、快速止まるから!普通電車しかないって不便だねぇ」
確かに、
さっきも述べたとおり
僕らの最寄り駅は各駅停車しか止まらない。
美和がこんな風に冗談まじりのイヤミを言っても、ツッコむ余裕なんかなかった。
―美和がここで帰る?
―ってことは、え~と?
「悠くん、千架をちゃぁんと送ってよ!」
「う?!」
なんか頭だけでなく
体まで白くなった気分だった。
何を考える間もなく
電車の扉がプシューと開き、
ガコンと閉まった。
すでにガラス越しの美和がひらひらと手を振っている。
千架も
「ばいばーい」
なんて言って、いたって普通。
―どうしよどうしよ!
完全に僕だけが舞い上がっていた。