アイシング、マイラブソング
まだ誰もいない暗い一階をドタドタと走り抜け、

荒々しく玄関を開けた。


ガチャン!



「悠!」



ドアの開いた途端、
笑顔で待ってる愛しい人…

なかなかこんな満足感、無い。



「千架ぁ、ダメだよ、夜に出歩いちゃ」


「だって。クリスマスのうちに会いたかったもん」


今日の虚しさが一気に吹き飛ぶ。

同時に千架の愛情の深さも実感した。


「オミヤゲはあたし!…って、ダメかぁ…へへっ」


「全然いい」


ぎゅっ


自然と千架を抱き締めた。



実はこれが初めてなのに、


愛しくて

いとおしくて

抱き締めたくて、


そう感じたら

ごく自然に手が伸びた。


「悠、ちょっと苦し…」


千架がそんなことを言っても

腕を緩められなかった。

自分の想いを、
体でどうしても伝えたくて

力みすぎていたかもしれないけれど。
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