アイシング、マイラブソング
―なに話そう…?




ドクン ドクン




胸の鼓動が彼女の耳に届きそうなくらい、

心臓がけたたましく揺れている。


千架との距離は1メートル。



二人きりのプラットホーム。



実際には
帰宅ラッシュの大人たちでごった返していたが、


僕の心は

二人きりのような

強大な緊張感に支配されていた。


こんなにたくさんの人が居て、

二人の間を誰かが横切ってきても

僕には彼女の存在しか感じることができなかった。


目を背けていても千架がそこにいるのがわかる。


―オーラ?

―雰囲気?

―フェロモン?


とにかく、その感じが僕を硬直させる。

思考回路もまとまらない。
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