アイシング、マイラブソング
「いただきまぁす」

千架はスプーンですくいながら、まるで初めて食べるかのようにうれしそうだった。


「おいしーぃ!!」

「良かったね」


僕も思わずうれしくなる。


「はい、あーんして」


いきなり、千架がアイス一口分を僕の前に差し出した。


―あ

―よく考えたら

―間接キス


戸惑っていると
ふっとそのスプーンが引いた。


「いらないならあたしがもらっちゃうよっ」


パクッと結局千架の口へ。


―千架は気にしないのかなぁ…


「食べる?」


もう一回聞かれた。


―よし、男なら潔く…


「うん」


「どうぞ」


ちょっと照れくさかったけど、『あーん』は無事済んだ。


「…ウマイ」


「ね!」


ドキドキ


―こんなんじゃホントのキスはまだまだだな…


無邪気でかわいい千架に、
また恋した気持ちになった。
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