アイシング、マイラブソング
そのあとも
買い物したり
ゲーセン行ったり

パティーを満喫した帰り道。


二ケツではなく
自転車をひいて歩いて帰った。


二人の時間が名残惜しくて、
できるだけゆっくりと。


行きにも通った川沿いに差し掛かったところで、

きれいな満月が僕らを見下ろしていることに気がついた。


「見て、悠。今日はまんまる」


「ああ」



どくん



なぜだろう。


満月を見た途端、


体が疼いた。


狼男じゃあるまいし。



『まだなの?!』



突然

自分の中の何かが目覚めるかのように


祥やクラスメイトのあのセリフが反芻した。



『まだなの?!』



どくん

どくん


千架は二歩くらい先を歩いてる。


その背中までも愛しくて。



どくん



『まだなの?!』



どくん



『はい、あーんして』



どくん



『こんなんじゃ
ホントのキスはまだまだだな…』



どくん



―今しかない!



どくん



「千架…」
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