アイシング、マイラブソング
慣れていると

キスをしながら
背に手を回して抱き合ったりとか出来るけど


ファーストキスって

何であんなに固まっちゃうんだろう。



初体験特有の

あのぎこちない感じ、

たぶん一生忘れない。



静止画は動きを取り戻し、

僕はゆっくりと千架の唇から離れた。



手はそのまま千架の頭を支え、

お互いの顔の距離はまだ5センチくらい。



もう一回しようか迷ったけれど

千架が僕の胸に顔をうずめてぎゅっとくっついてきたので抱き返した。


そこで彼女が呟いた。




「あ~…ダメ」




ドキ!



―俺がヘタだった…?



「な、にが?」




「…ハズカシ~…」




思わずふっと吹き出した。



「そんなの俺だって」



頭を撫でてあげると、

千架はなにか気構えた表情で僕の方を見上げた。



「ねえ、もう一回!」




真っ赤な頬をして

おねだりする千架が可愛いくて


きゅんとしながら頷くと


さっきよりもゆとりのある


二回目を、した。
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