アイシング、マイラブソング
「今日は早い方なの?」
混乱を極めている僕に、千架から話しかけてきた。
首を少し傾けて
覗き込むように見つめられている。
―平常心。普通に、ね…
自分を落ち着かせる。
「ん~…遅い方かなぁ。ちょっと部活で走らされて」
「部活は何?中学と同じサッカー部?」
「そうだよ」
―知っててくれた!
喜びを隠して、冷静を演じながら返事をした。
どき どき
相変わらずな胸の動悸。
―中学の頃、こんなに藤堂のこと気になってたっけ…?
3ヶ月間男だらけの学校にいたせいか、
久々に出会って淡い思い出が急速に蘇ったからなのか。
自分でもよくわからないまま、
彼女との距離は1メートルから縮まらなかった。