アイシング、マイラブソング
最上最高の贅沢。


例えば、

千架がゴールにいる誘惑だらけの一本の道があったとしたら。


途中でどんな高級料理を目の前にしても。

どれだけの札束が僕を呼んでいても。

世界中の人に崇められるような最高クラスの地位を与えられると言われても。



僕は迷わず千架まで走る。



自分を愛してくれて、

必要としてくれる、

たった一人の愛しい人。


愛する人が自分だけを愛してくれる、
僕にとって、この世界で一番の贅沢。



いつになく星がまばゆい窓の外を見ながら、
そんなことを考えていた。



「あー、流れ星!」



千架も同じように外を見ていたようで、
そちらを指差しながら叫んだ。


「願い事できなかった!あーあ…。部屋のこの感じもいいけど、やっぱり本物の星がいいね」



「…そうだな」



千架が言うより先に

実は流れ星に気が付いていた僕は、

ちゃんと願い事を唱えていた。

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