アイシング、マイラブソング
研ぎ澄まされたせんまいどうしのような尖った言葉が、僕の心臓を貫く感覚だった。

胸がきりきりして息苦しい。

けれど、千架も僕に対して裏切られたような、多大なるショックを感じているのだと思うと、僕だけが被害者ぶることは出来ないと感じた。



「ごめん、ね…千架は魅力的だから…いろんな男が放っておかないでしょ…」


「関係ない!たとえあたしが誰かに言い寄られたとしても、たとえそれが悠の何百倍も素敵な人でも、あたしがそれについていくと思うの…?」


「…」


「悠のこと、信頼してたのに…そんな風に思ってたんだ…こんなの、浮気される方がよっぽどマシだわ」


「そんな…」


「あたしに魅力がなくて他人に惹かれるのは仕方がないことだから。魅力より信用が欲しい。外見とか行動とかじゃなくて、目に見えないものを見てよ…もっとあたしを信じてよ!」



彼女の言い分が痛いほど分かる。

僕も疑われたら悲しい。


―本当にあたしのこと好き?

―あたしを騙してるんじゃないの?



もしこんなこと言われたら、本当に悲しい。


今さら自分の軽はずみな言動の重さを実感して、そのあまりの重みに自ら潰れそうになった。
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