アイシング、マイラブソング
「うう…」


泣きじゃくる千架を抱き寄せることも出来ない。

疑いの心があったのは事実。

その罪悪感が、僕から彼女を遠巻きにする。


どうにも動けないでいると、彼女はさらに憤慨した。



「黙ってないでよ!」


「え…」


「お詫びも言い訳も、何もないの?こんなに一方的に言われて、自分の意見はないの?」


「だって…」


「だって何なの?」


「何言っても怒るじゃん…」


「…は?だから何だっていうの?あたしとぶつかろうともしないの…?何それ…意気地なし!悠のバカ!」



千架は言うだけ言って走り去った。

それを僕は追いかけもしなかった。

彼女の背中を見ているだけなのに、足がすくむ。

僕は千架に叱られただけで縮こまる意気地なし。
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