アイシング、マイラブソング
―何を言ってほしいわけ?

―勝手に怒ってさぁ…

―マジ意味分かんねー…


ここに居ても、僕のこのシワの少ない脳ミソでは一生解決しないと思い、とりあえず歩き出した。



心に、もやがかかる。



千架がぼやけていく。



その白さがますます濃くなって、

いよいよ千架の姿が薄い陰となって、すっと消えた。



―千架!



心の中の幻が消えただけで不安になる。

それほどに千架は僕に無くてはならない存在なのだ。

そんなにも大切な人を、泣かせてしまった。

裏切られたと感じさせてしまった。

これ以上の罪はない。



―俺はどうすればいい?

―千架の求めるものって?



必死で考えたが、こうしている間にも千架は泣いているのだと思い、気付くと走り出していた。


彼女を見つけるまでに考えておこう。


千架の欲しい言葉、態度、用意しておかなきゃ。
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