アイシング、マイラブソング
美和と別れた後、
千架と会うことになっていた。

先程の大人っぽい姿は一転、
ミニスカートの似合う年相応の女の子の格好で現れた。


「ねえ、どうだった?」

「感動したよ」


「悠のこと考えながら歌ったら上手くいったんだよ!」


「ありがとね」


たぶん
僕の返事は棒読みだった。

興奮覚めやらぬ様子だった千架もさすがに気付いた。


「悠…元気ない?」


「ちょっと」


「なんで?」


自分の器の小ささが露呈されることに少しためらったけど

千架に隠し事とか嫌だし、出来ないと思ったから

素直なきもちを話すことにした。




「千架が遠く感じた」



「遠く…?」



「千架はプロ歌手、俺はライブに来たファンの一人、みたいな。」



それを聞いた千架は悲しそうに黙りこんだ。



これまでに無い
陰鬱な雰囲気が流れる。


言ってから後悔した。


自分だけが勝手に落ち込んでいればいいのに、千架まで巻き込んだこと。


「あ…すまん…」
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