アイシング、マイラブソング

「…あたしはここに戻ってくるよ」




それは意外な答えだった。



「たとえ悠の心がそうやって遠くなったとしたら、あたしは構わずまたひっついてく」



「あ…」

千架も、僕と同じ気持ちだったんだ。

相手を悲しませたくないって…。



「嫌われて遠くなったとしたら別だけど…ねっ?」



基本的なこと、
忘れかけていた。


僕だって

千架がさびしそうだったら自分から歩み寄って元気にしたい。




「だから、キスして?」



「え?!」




―『だから』の使い方がオカシイ気が…!



「悠でしょ?感想票に『帰ってきたら何でもお願い聞いてあげる』って書いたの」



「う…」



「最後に『文句なし!』って殴り書きがあったけど」



そう、僕は感想票を書き足していた。


さみしくて気を引こうとしたんだ。


本当に情けないやつだ。
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