アイシング、マイラブソング
時は3月。

春の嵐は突然やってくるもの。


そして、

人の別れも…。



「別れて」



どくん



―あぁ…ついにこの時が…



「ごめんね、あんまり相手出来なくて」


「祥クンなんかキライ!」


あああぁぁ…と、
泣き叫びながら女の子が遠のいてゆく。



「祥…なんで俺が見届けなきゃなんないの…?」


「帰路で張られてたんだから仕方ないだろ、こっちはお前と帰ってるんだし」


できれば幼なじみのこんなシーンは見たくなかったが、
前述のとおり道で待たれていてはどうしようもない。


「てか相手しなかったの?」


「んなことないぞ。束縛する子だったから向こうにしちゃ足りなかったんだろ」


「束縛か…お前にはキツイな」


「だろ?ま、これで当分心置きなくゲームができるからいいや」



―なんで、別れて平気な顔してるんだ?



もし今
自分が千架に

「別れて」

なんて言われたら…


考えることができない。

有り得ない事態で
対応すらし兼ねるかもしれない。
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