アイシング、マイラブソング
「ハァハァ…ハァ」
もう30分は経ったろうか、
息切れでこれ以上走れないというところで完全に立ち止まった。
冷静になってみると
駅に自転車を忘れていることに気がついたので
歩いて向かうことにした。
走っていたときは無心だのに、
歩くときってなぜか色々考えてしまう。
―言い過ぎたな…
―自分でも薄々感づいてたのに
―実際こうなると耐えられないもんだな
―俺は千架をしあわせにしたい…
―できれば自分と居てほしかったけど
―千架の望みが俺と別れることなら
―…仕方ないか
「イヤだ」ともっと駄々をこねたら
考え直してくれるかもしれない。
だけどそんな風に困らせたくなかったし、
邪魔とまで言わせてしまったのだから、
潔く身を引くしかないと思った。