アイシング、マイラブソング
「あれ?祥くぅん!…と三上君…」



―俺は“ついで”じゃん!


(僕にとっては)不愉快な声掛けで酒井が現れた。


酒井とは、
俺とは2年生、
祥とは3年生で同じクラスになった女の子。


言動で明らかだが

祥に気がある。


キャピキャピという単語が非常に似合うタイプで、

祥は苦手としていた。



「…あ~、悠よりウザイのが来た…」



祥はボソッと聞こえないように言ったのだが



「一ノ谷君てば、口ではそう言っちゃって」



な~んて
ちゃっかり聞いてる&ポジティブシンキング。



僕はなんだか面倒くさくなって帰ることにした。

酒井にしたら
僕は違うクラスのよそ者だし
オジャマ虫なわけだし。



「祥、俺ちょっと…」



何も入っていないけど持ってきていた軽いカバンをひょいと取って

いそいそと教室を後にした。



酒井は超ハイテンションで「バイバーイ♪」と叫び

祥は「おい、悠!裏切り者!」と立ち上がる。


この後の二人の展開を想像して

ちょっと面白がりながら階段を駆け下りた。


それと


積極的な酒井に感化され


―恋したいな


なんて思ったりした。
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