アイシング、マイラブソング
千架はケータイをいじってる。


その仕草も
いとおしくて。


本人は無意識だろうけど
マンガみたいにアゴに人差し指を置いて考えながら、メールを打つクセがある。

ちょうどその時それをやっていた。



ケータイをしまうと

次はリップ。


唇に1、2、3回と
てきぱき塗って。



―やっぱりやってる!



たくさん一緒に登下校したんだから解る。

あの時と変わらない行動がなんとも微笑ましい。



心臓が一回どくんと大きく鳴いて


一段と愛しさが増幅した。



「はぁ…」



またため息が漏れる。


完全に千架のストーカー的な変態に見られただろうけど

この時はそんな理性はなかった。



千架を見つめることに精一杯で。


何よりこんなにも忘れられずにいて

こんなにも会いたかったのかと

自分に驚いていた。
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