アイシング、マイラブソング
「俺は

 まだ千架が好きだ」



僕の口元あたりだった千架の目線が、左側の花壇へと移った。



「俺の人生、千架よりも好きになれる子なんて、もう絶対に現れないと思ってる」



今度は花壇と僕の足元を交互に見てる。




「千架と、やり直したい」




そう言い切った瞬間

パッと顔を上げて

いきなり僕の目を見た。




―なみだ…?




千架の瞳は

今にも溢れ出しそうにみずたまりが出来ていた。



「…無理よ」



「どうして…?」



「どうしても!」



「だから…なんで」



「なんで今さら…!」




ついに

頬へこぼれ落ちた。


僕は罪悪感からか

胸が締め付けられた。



同時に

涙を拭ってあげられない自分と

彼女を泣かせている自分が非常に悔しかった。
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