アイシング、マイラブソング
だが、10分経ってもなかなか本題らしき話題にいかない。



―どうしよ…



本人が語らないのに自分から「話って何?」なんてふっかけていいものか、

迷いながらも少し待った。



♪~


「あ、この曲」



僕は思わず口に出した。


店内に『アイビームーン』の主題歌が流れていた。


『アイビームーン』といえば…。



「これ、千架と初めて見た映画の歌だ」



そう美和に言うと、

今まで笑顔だった彼女の表情が

明らかに変わった。



駅前で“僕を待っていた”と言った真面目な顔。



僕は

―何かマズイこと言ったかな!?

と焦った。
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