アイシング、マイラブソング
「千架が中3の時、歌のテストでみんなの前で歌ったことがあってね」


「…覚えてる。6月くらいだろ?」



千架を意識した日、

忘れるわけがない。



「ああ、それぐらいかな。その授業の後、悠くんが初めてしゃべりかけてきたって」


「…確か歌を誉めたような」


「そう、『藤堂の歌でしあわせな気分になった』、『CDデビューしたら絶対に買うから』って言わなかった?」


「…んなこと言ったんだ…」



興奮していて覚えてなかったけど…

かなり調子の良いこと言ってるな、と哀しくなった。



「今まで千架をかわいいとか誉める人はいたけど、自分が頑張ってる『歌』を誉めてくれたのは悠くんが初めてで」


「そうだったんだ…」


「それから悠くんが気になっちゃったみたい」


「そうなんだぁ…ははっ…」


改めて他の人の口から言われると照れくさい。
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