アイシング、マイラブソング
「ありがとう…これであたし悔いはない」
千架は目を閉じて、
ボタンを握りしめながら自分の心臓の前にその手を置いた。
その姿は感慨深く見えた。
―何を想ってるの…?
数秒して顔をあげた千架はいつもみたいに微笑んだ。
「…お互い高校卒業おめでとう!」
僕も出来るだけ笑顔で答えた。
「ああ、おめでとう」
「じゃあ、ばいばいっ」
「あ、待って!!」
振り返って走り出す千架を、『ばいばい』に反応した僕は無意識に呼び止めた。
―呼び止めたはいいけど
―何で?
―だって急にバイバイするから驚いて
―イヤ、たぶん行かせてはいけない何かがある
―千架に用事…
―あ。