アイシング、マイラブソング
とにかく、
ミカンが吠えれば、インターホンを押さなくても祥が二階の窓から顔を覗かせる。



「おう、悠!カギ空いてるから入ってこい。あと、ミカン黙らせて」


「ほおーい」


ミカンは門をくぐってきた客に撫でられるまで吠える。

こうして犬なりに友好的な奴が来たのか、泥棒なのか確認しているのだろうか。



「どうせそんなこと考えてないよな。甘えん坊だなぁ、おまえも…」



―おまえ も ?



ミカンの頭を撫でながらそう呟いた瞬間、


自分で自分に何だか哀しい笑みがこぼれた。
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