アイシング、マイラブソング
祥の部屋は相変わらずだった。

ドアの正面の壁には十年くらい前にヒットしたアクション映画のポスター、
時代遅れの大きなCDカセットコンポ。



何だか落ち着く。



「このポスターまだ貼ってんの?そろそろ古いぞ」


「そうか?お前、俺の部屋の第一声いつもそうじゃん!最後に来た半年前もそう言ってたな」


「えっ、そんなに来てない?」


「そうだぞ。外で会ったのはまだ最近だけど、家に来たのは12月くらいじゃん。俺が大学の単位がやばくて留年しそうだっつったら応援に駆けつけてくれたじゃないか」


「あ~、そうだったな。」


「結局ゲーム大会になって終わったけど。」


「はは、そういえばそうだ!でも無事に4年生になれて良かったなぁ」


「まあな。そっちは?仕事」


「それなりに順調。それより用事って?」


「今日はおまえにあげたいものがあってさ」




祥は少し強張った顔つきで僕を見た。


贈り物って普通、笑顔で渡すもの。


そんな顔をされると、もらう方としては無駄に冷や汗が出そうな緊張感を覚える。



「え、何かくれるの…?」
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