アイシング、マイラブソング
電車が駅に着いて、
二人してノロノロと歩いて帰った。

先に僕の家の前を通るので、そこで別れる。



「健闘を祈る!じゃあな」



祥が捨てゼリフのように励ましてくれ、帰っていった。




「やっぱ無理だって…」




僕はポストを見ながら呟いた。


両親は共働き、
6コ上の姉もすでに働いており、
鍵っ子の僕はたいてい一番に帰ってくる。


ポストを見るのは習慣だった。


「朝刊ぐらい、誰か朝のうちに取っとけよ~」


新聞と、何やら封筒が数枚あった。


家に入りながら、それを見た。



「クレジット支払い請求…
 電気屋のDMと…



 試写会…?」
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