アイシング、マイラブソング
自転車を置くと、
千架はわざわざこっちに走ってきた。



「ごめんね、待った?」



―うわ~!

―なんか、カップルの待ち合わせみたい!



じーんと湧き上がる、
言い知れぬ喜び。

一時のカップル感に酔いしれた。



「全然、俺も今来たとこ」



カレシっぽく、
できるだけ紳士的に言う。



「良かったぁ。じゃあ早速行きますか!」



―藤堂さん…ヤバイです…



にこっと笑う千架にくらっときた。



さらに言えば

花柄のワンピースがよく似合う。

グロス?ってやつでおいしそうな唇。

彼女の持つそれらも僕を存分に惑わせていた。
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