アイシング、マイラブソング
試写会場に着くとすでに人で溢れていた。

恋愛映画だけあって
男×女のカップルが格段に多い。

きっとほとんどが恋人同士なんだろう。



―俺らみたいな関係のカップルもいるだろうか…



周りを見れば見るほど切なくなり、自分を慰めた。



「…? 藤堂?」



自分の世界に入っていたら、
千架が隣にいないことに気がついた。


―しまった!無言になってた!まさか帰った?!


焦って辺りをきょろきょろと見渡す。


―いないな~…どこ行ったんだろ…


小走りに千架を探した。



「みっかみー!!」



前方から、
手に何かを持った千架が駆けてきた。

「ポップコーン、無料で配ってたよ♪」

「そ、そうなんだ~…」

とりあえずホッと胸をなで下ろし、ふたり揃って会場へ入った。
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