アイシング、マイラブソング
「三上…来てくれてありがとう」


「こんなんで良かった?」


「誰かに聞いて欲しかった…ひとりじゃどうしようもなくて」


「また何かあったら言ってよ」


「うん…助かる」


笑顔の戻った千架を見てホッとした。



―ありがとう



心でこっちからも礼を言う。



彼女が

美和じゃなくて

他でもなく


僕を頼ってくれたこと。



祥じゃなくて

他でもなく


好きな人が頼ってくれた。



僕の中ですごく意味があった。



どういう思いかは分からないけれど

純粋にうれしかった。



もう蒸し暑さのない晩夏の夜風は

どこか心地良かった。
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