アイシング、マイラブソング
季節は秋の初めになった。


この頃は千架と駅のホームで会うこともしばしばあり、

メールのやり取りも相変わらず続いていた。



―今すごくいい感じだ。



現状に満足し、
付き合いたいなんて欲はなかった。


一般人と高嶺の花。


自分に言い聞かせれば
必然的に欲はセーブされた。


そう思っていた最中の
9月中頃のこと。


祥からの一通のメールが
僕の心をかき乱した。



[藤堂が男といたぞ]



― え……?



「…え――っ!?」



帰りの電車の中にも関わらず、
僕はつい大声で叫んでしまっていた。
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