アイシング、マイラブソング
―お似合いだなぁ…


美男美女カップル、
素直に思った。


―カレシかな…

僕の想像は暴走する。


―カレシがいるのに俺とメールとかしてていいのかな

千架の口から聞いてもいないのに決めつけて。


―ダメだ、卑屈になる

二人から目を背け、
気付かれないようにホームの一番端へ向かった。


「………。」


だが、
見たくないものほど
見たくなるものだ。



20メートルくらい離れたところで二人の様子が気になり、

一瞬だけ、と決めて視界ギリギリの横顔に近い角度で振り返って見た。




バチッ

―やべっ!



ちょうどこっちを向いていた千架と

目が合った。


すぐに顔を前に向け、
知らんぷりをした。


―工業の制服だけど俺じゃなくて、そう、俺以外にもこの制服着てるヤツはいるんだし、藤堂は見間違えたんだぞ、なっ。


意味もないのに千架に話しかけたりして、
内心かなり焦っていた。
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