アイシング、マイラブソング
たっ

 たったった


―?


背後から足音が聞こえる。


「うわっ!」


「やっぱり、三上!」


「とっ、藤堂!?」


軽やかな足音と共に
千架が僕の目の前に現れた。



「え?なんで?えっ?」

「なんでって…三上が見えたから来ただけ」


「だから…なんで…」



僕は穴があったら入りたいぐらい、いたたまれなかった。


自分はあの場から逃げたのに。


追いかけられるなんて思ってもみなかった。


「なんでって言われてもなぁ」


不思議がる千架に、

僕はためらいながら聞いた。


「…さっき一緒にいた…」


千架はまだ疑問顔。


「その…さっきの子、ほったらかしていいの?」
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