アイシング、マイラブソング
「ぅわ~~広ーい!」


海に着くやいなや、千架は砂浜を駆け出した。

僕もその後を追う。


秋の海はポツポツと人がいた。

犬の散歩をする人、
子供連れの家族、
海を見ながら並んで座るカップル、

海を背にすると、
皆しあわせそうに見えた。


先に海岸線に着いた千架も波打ち際で絵になっていた。


秋も深まってどちらかと言えば海風は冷たいのだが、もう裸足になってはしゃいでる。


僕は数十メートル後ろからポッケに手を突っ込んで様子を見ていた。


本当に楽しそうだ。


告白を前に、
そのドキドキ感や今日で最後かもしれないという不安があったけれど、

それらが吹っ飛びそうだ。



―来て良かった。



素直にそう思わせてくれた。
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