アイシング、マイラブソング
そんな顔をされて、

もう我慢なんか出来なかった。



「ねえ、言っていい?」



「ん?」



「俺、藤堂が好きだ!」



「…ありがとう」



嬉しくて嬉しくて、

こういう時って何で叫びたくなるんだろう。



「好きだーー!!」



海に向かって続ける。

千架も「やめてよっ」と言いながらも満更でない様子。


彼女と僕の長い影法師が、二人の位置や夕陽の角度の加減で重なっている。

想いが通じ合った二人のようにひとつになって
白い砂浜にくっきりと浮かび上がっていた。



高校一年、

ある休日の

秋の夕暮れ。



橙色の幻想的な海を前に、

僕らは想いを通じ合わせた。
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