アイシング、マイラブソング
ガタン ゴトン


この電車の音はあれ以来耳につくようになった。

千架と再会した梅雨の日、

初めて二人きりになって一緒に帰った日。

初心に戻る、暗示みたいになっている。


どき どき


ま、初心に帰らなくても
僕はきっと
ずっとこの子にときめき続けてしまうんだろうけど。


「明日はどうしても一緒に帰れないから…ごめんね」

「そっか…残念」

「歌のレッスン日なんだ。学校帰りに直接行くから、火・木・金は無理ということで」

「全然いいよ。歌しっかりやりなよ」

「うんっ」


僕が藤堂に興味を持ったキッカケの『歌』。

応援しないはずがない。
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