アイシング、マイラブソング
「…ねえ、三上」


「ん?」



「千架、で…いいよ」



僕も「あっ」と思った。


「あたしも悠でいいよね?」



「もちろん!」

「ふふっ」



顔を見合わせて笑った。

二人ともそんな気分だった。


ただ呼び方を変えるだけで一歩進んだ気がした喜びの現れだった。


「千架はかわいいねっ」


もう一度言い直した。


「ありがとう、悠」



初めてきちんと名を呼ばれたムズがゆさに、頭をかいた。


―やっぱり好きだなぁ。

確かな想いを、改めて噛み締めた。
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