不器用な君と不機嫌な私
走り始めるとき、郁が少し笑ったような気がした。
だるいとか言っていたくせに
軽々と一位と取った郁。
そして思い切り私に向かって
ピースを向けてきた。
違う、
別に仲良くなる理由なんてなかったんだ
秋穂たちとは
平凡に暮らしたくて仲良くしたかった
でも、郁は違う。
ただ、郁が好きなんだと思う。
理由なんかなくて、
一緒にいると
楽しいから。
「かおりーん!!
褒めてーっ!!」
バカみたいに叫んで
笑って
怒る郁を
大切にしたいんだ。