不器用な君と不機嫌な私
おもわず藤原さんの手首をつかんでいた。
あまりの細さに驚いて
離してしまいそうになる
「あのさあ、」
「う、うん」
「リレーで勝ったら」
「勝ったら?」
「アドレス、教えてよ」
いつからこんなに時間が流れるのが遅くなったんだと
そう思うくらい沈黙を長く感じて
それでも、
ちゃんと言えたんだ、俺。
すると藤原さんの乾いた笑い声が聞こえてきた。
「なにそれ、仲本、そんなこと?」