不器用な君と不機嫌な私
「え、いや」
そして自分が思っていた以上に
藤原さんの手首を強くつかんでいたことに気がついて
すぐに手を離した。
「いいに決まってるじゃん
あーもう、なにかと思った」
そう言ってまた笑い出す藤原さん。
こんなに笑う子だったっけ。
あぁでも、よかった
なんでこんなに緊張しなきゃいけないんだよ
「がんばれ、仲本っ
じゃああそこから見といてあげよっか」
きっとこれ、俺からかわれてるよね
「いいよ、別に
勝つから」
「はいはい、いってらっしゃい」
そういえばこの前、藤原さん
おかえりって言ってたっけ
なんてことをふと思い出した。