不器用な君と不機嫌な私
*過去と未来
知らないこと
「西村すげーな、最近よく出るようになってんじゃん」
ある日、柳瀬くんがそう言った。
「べっつにー。
郁よくわかんないしー。
っていうかヤナくん見てるとか
ぞわぞわ~っ!!」
「お、お前なあ!
大切な読者だぞ俺は!
…じゃなくてこれ姉ちゃんのだから」
「読者って、なにが?」
なんのことかさっぱりわからない私はつい聞いてしまっていた。
すると柳瀬くんは目を丸くして
あれ、知らない?
と言って鞄から一冊の雑誌を取り出した。
「あーっやめてーっ!!
恥ずかしいからっ!
もう、やだ~っ!!」
「いいだろ別に、
ほらこれ、西村。」