不器用な君と不機嫌な私
「い、郁、これすごいことなんじゃないの…!?」
「ええっと~…そんなことないと思うよー?
それについ最近始めたばっかだしー、
まあただでカラーとかパーマできるのは嬉しいかもっ」
雑誌の中で笑う郁は
本当に可愛くて。
その雑誌は古着系を中心に扱っていて、いかにも郁が着そうな奇抜なものも多かった。
「でも、郁がモデルとか全然知らなかった…」
「モデルなんてものじゃないよーっ!
ただの読モだしー、
それに、あんまり暇つぶしにならないし。」
「え?」
「え?ううんっなんでもなーいっ!
でもばれちゃったんならー、仕方ないよねっ!
かおりん応援してくれたら
嬉しいなー!!」
「応援するに決まってんじゃん!
でもびっくりだよ」
「えへへっ」
そうやって笑う郁は
普段どおり、可愛いのに
どこかがいつもと違う気がした。
確信はないし
ただの勘違いかもしれないけど
郁の、目が笑っていなかった。