不器用な君と不機嫌な私
「ね、お母さん」
「なあに?」
「私の浴衣ってどこか知ってる?」
「あーっ、明日お祭りだったっけー?
たしかお母さんの部屋のクローゼットに入ってるから、取ってらっしゃい」
「わかった、ありがと」
「なあに?彼氏くんとー?」
にやにやした顔でそう聞いてくるけど、
残念でした。
彼氏なんて、いないよお母さん。
「違うよ、友達」
「あら、残念。
ってそうだ思い出した、
お母さん去年あんたに新しい浴衣買ったんだった」
「ええっ!
見たい見たいっ!!」
「ちょっと待ってー、今探すからー」
お母さんを嫌いだと思ったことは
中学のときは何度もあったけど
今じゃそんなこと全然思わなかった。
むしろ、大好きなんだよね。