不器用な君と不機嫌な私
無理やりと言っていいくらいに
郁は
あの2人とは反対の方向へと
歩き出した。
おれの手を取って。
「郁」
「やだ、聞きたくない」
「なあ、郁!」
「うるさい」
「こういうの、やめてくれよ
勘違いされるだろ」
「嫌なの?
勘違いされたくないの?
変なの」
「頼むから離してくれ」
そう言うと郁の手の力がすっと抜けた。
そして思い切り俺を睨む。
「キョン、残念だけど
キョンの思い通りにはいかないから。
郁がそんなの許さないから」