不器用な君と不機嫌な私
「…なにいってんだよ」
「郁は、協力とか応援とかするつもり一切ないから
せいぜい頑張ればいいじゃん
じゃあね、郁、帰るから」
「郁!!」
呼び止めると郁は振り向いて、笑った。
「バカじゃん、みんな」
そして小さくそう呟く。
この日から郁は
おかしくなっていった
そして俺は知らなかったんだ
広瀬がどれだけのものを
抱え込んでいて
どれだけの傷を負っているのか
俺たち三人は
ばらばらになっていく
幼い日のあの思い出に
影なんてないと
そう信じていたのに