不器用な君と不機嫌な私
郁がいないと


教室がやけに広く感じるのは


どうしてなんだろう



クラスの子たちは、

独りでいる私を見て

わかりやすい気づかいをしてくれる。



嬉しくて、笑おうとするのに


得意なはずの愛想笑いが


いつのまにかできなくなっていた


そっか、私


郁といるときは、
心の底から笑ってたんだ


そんなことを今さら気がついても


遅いのに。



「………じわらさん、ねえ」

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