不器用な君と不機嫌な私
「仲本、」
「…行ける?」
「え?」
「別に、じゃ、行こっか」
終礼が終わったあと、私は仲本のところにすぐ駆け寄った。
行くなら、早く行きたいから。
早く郁の顔を見たいから。
すると仲本は私の鞄を手にとった。
初めて仲本と関わったときも、この人は私の鞄を持っていたっけ。
「ねえ、なんで?」
「なんでって、なにが」
「私の鞄、持つ意味」
「持ちたいから。
っていうのは嘘、普通男が持ってやるもんでしょ」
「そんなの、悪いしいいよ」
「…俺にはこのくらいしかできないから」
「…え?」