不器用な君と不機嫌な私
たとえ藤原さんの気持ちが
俺に傾いていなくても
走り去る彼女を追いかけなければいけないと思った。
望まれていなくても
今彼女を一人にしては
いけないと思ったんだ
郁には
広瀬がいる
だから、いいんだ
平気なはずなのに
郁の言葉が頭から離れない
もういい加減あいつの気持ちを
知らないふりなんて
できないってことか
郁が俺の手に指を絡ませる意味を知っていて
もうこれ以上は
言い逃れはできない
それでも、せめて
今日だけは許してほしい
頼むから、
好きなひとを追いかけるくらいは
許して欲しい。