不器用な君と不機嫌な私
去年は
彼女のことを
何も知らなかった、
でも今は
藤原香織という名前で
手首は壊れそうなくらいに
細いことも
綺麗な長い髪が柔らかいことも
震える彼女の肩までも
愛しいことも
知れたんだ
たとえ
一目惚れから始まった恋でも
こんなに好きになれて
よかったと、
今ならそう思えるから。
「…ありが、…とう。
えっ…と、もう、平気だから…、大丈夫……だよ…?
」
冷たい彼女の指が、
俺の指に触れて解いていく
離したくはないのに、
離さないといけない
でも、もう仕方がないんだ
いいんだ
傷つくのは
俺一人だけで、いいから。