不器用な君と不機嫌な私
文化祭まであと3日。
準備が押していて、放課後にはほとんどの生徒が残るようになっていた。
体育祭以来、クラスの子たちとも
仲良く過ごすことができていた。
でもやっぱり郁がいないと
私のなかに大きな穴ができてしまったようで。
「香織ちゃん、これ全体的に黒く塗ってくれる?」
でも
私のことを香織ちゃんとも呼んでくれる子もできた。
「うん、わかった」
預かった看板は、少し大きめで
思わず体制を崩しそうになってしまう。
「あっ、」
「平気?」
支えてくれたのは仲本だった。
あれ以来、私は仲本の目を見ることができなくなって
思わずうつむいてしまう。
「うん、大丈夫」
すごく仲本には感謝しているけど、どんな顔をして話せばいいのかわからない。