不器用な君と不機嫌な私
なんだ、もう、
無理なんだ
私にはもう、たった少しの
可能性でさえ残されてないんだ
あんなふうに飛び出していくんだもん
そんなの、
そんなのって、
私には入る隙もないんじゃん
郁があんなこと言ってたのに
心配してないなんて。
だって、郁には先生がいるんじゃない。
だから、郁は大丈夫。
私って、最低だ。
なんにも変わってない、
こんなとき、郁を思って泣かなくちゃいけないのに
先生の手のひらの温もりが
消えていくのが、嫌で。
お願いだから、
先生の熱を、奪わないで。
「もう、いや……っ…
どうして……っ…どうして…」
そのまま私は
声を押し殺して、
泣き続けた。
誰もいない教室の中で、ただ
どうして、
と。