不器用な君と不機嫌な私


「あ…き、…?」


「もうやめよう、な?


こんなことしても

郁が傷つくだけだ


辛いからって全部一人で背負うなよ、俺が半分背負ってやるから、

だからもう、やめよう……?」



そんなこと言わないで



やめるって、なにを?



生きるのを?



「ねえ、アキ…

キョンは約束破ったのかな…?」


「約束…?」


「もう、かおりんと

付き合っちゃったのかなぁ…?


郁のこと、ずっとずっと

守ってくれるって約束、忘れちゃったのかな…?




「………郁、あのな、」


「…アキ、


郁もう疲れちゃった」


そう言うと、アキは深い深いため息をついた。


そして、郁に一歩ずつ近付く。



そのあと、優しく抱きしめてくれた。





「…京介と約束したんだよな、郁は。


それなら、俺と新しい約束をしよう、頼むから

頼むから変なこと言わないでくれよ……!」



「新しい、約束…?」
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