不器用な君と不機嫌な私

「そうだよ、

これからは、俺が郁のこと


守ってやるから、

だからもう、」


「じゃあアキ、証明して」


「ん…?」


約束してくれるなら


今度こそ


破ることのできない


約束がいい


アキから体を離して

散らばった食器の破片を拾い上げた


そして刃を


手首に立てる


鋭い痛みが走って

思わず声が漏れそうになった



「おい、郁!?
なにやって」


「ほら、アキも。」


十時型についた傷をアキに見せる

「アキも、して?」


わかってる


郁のしてることは


おかしいことくらい。


でも、もうやめられないから


もう、止まらないから


そしてアキも


同じ破片で同じ場所に、


同じ傷を遺した







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